戦前の歌謡曲
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「影を慕いて」 作詞・作曲 古賀政男 (昭和5年)
この曲は、古賀政男が初めて作曲した昭和を代表する名作です。
彼は10歳の時に京城(現在のソウル)に移り住みましたが、この曲は日本では珍しい3拍子の曲となっていて、朝鮮民謡の影響を受けたといわれています。
古賀は、長兄の反対を押し切り、大正12年に明治大学予科に入学しました。入学と同時に有志とマンドリン倶楽部を創設しています。彼は、神田すずらん通りに今もある須賀楽器店で、アルバイトで音楽教室「駿河台音楽院」の講師をして学費を稼いで生活をしていました。
古賀は、昭和3年(1928年)に音楽教室の生徒中島梅子という女性との恋愛関係にあり、身分の違いから別れなければならない辛さ、そして「大学は出たけれど」という映画ができた程、大学を出ても就職できない厳しい環境の中、就職の目処がつかないという将来への不安から、蔵王の青根温泉で自殺を図ります。しかし死に切れなくて、その時の切なく辛い思いを詩に書いたのが「影を慕いて」の歌詞です。